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ぼくには鎮魂が必要だ。
きみはあたりまえのこととしてぼくの隣から隠れた。
あまりにも自然だった。
追えば追うほど見失うんだろう。
隣り合っていたぼくらの速度は同じだったから。
きみの隣へ行くために、ぼくはぼくの魂を鎮める。
こうして写真でもないきみに語りかけ、
ぼくは隣にきみを思い、きみの隣とぼくに思う。
ぼくの見るもの聞くものはすべてこれからもきみのものでもある。
風にきみの熱を想い、雨にきみの香りを想う。
雲に鳥にきみの声を聞き、ぼくらは今でも隣り合う。
ぼくが耳にするきみの声。きみへ語るぼくの声。
途切れはしても止むことはない。
また会う日まで隣り合おう。
了
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