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カウントダウン
僕は、あと──日で死ぬ。
十四歳の僕は、不登校児だった。理由がある訳ではない。
ただなんとなく仮病で学校に行きそびれて、そこからズルズルと理由なき欠席を積み重ねてしまった。
自室で起きて、トイレと風呂以外は自室にこもり、駄菓子を食べながらパソコンでオンラインゲームを繰り返しプレイした。お陰で十四歳でありながらギルドマスターを務めるまでになってしまった。
引きこもり始めて二年経った、ある夏の夜。「それ」は枕元に立った。何かは解らない。が、不思議と僕は「それ」をすんなりと受け入れてしまった。
「それ」が手をかざすと、頭の中に数字が浮かび上がる。
その数は、3650。
この数字はどういうことかと尋ねた僕に、「それ」は悲しそうな笑顔で応えた。
──お前に残された、日数だよ。
それでも僕は信じなかった。何かの怪奇現象と片付けた。
しかし3650という、ちょうど十年分の日数を示す数字がやけにリアルで、いつしかそれを残りの寿命として受け入れていった。
あと十年しかない。いや、実際には閏年もあるから、十年足らずだ。
僕は、あと十年で死ぬ。
そう思ったら、居ても立っても居られなくなった。
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