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「すいません・・・まさか後藤さんじゃない人が・・・」  女は申し訳無さそうに言った。 「いや、俺もすぐ開ければよかったね」  俺はそう言いながら様子を探った。  どうやら女は隣のビルの住人のようだった。こっちのビルと向こうのビルは大人が手を伸ばせば届くほどに近い。窓もほぼ同じ高さだ。行き来しようと思えば可能だろう。  女は肩と胸元が開いた水商売風な格好をしている。年齢は俺や後藤よりも若く見える。髪は金色だが明らかに染めた物だった。化粧も服装と同じように水商売風の濃い物だったが、顔立ちの幼さが隠しきれていない。危うい美しさだった。 「後藤は今、グラスを買いに出掛けてるんだ」  まさか霊現象を体験させる為に俺を一人残していったなどと言えるはずがない。 「そうなんですか」  女は伏目がちに言った。  話しているうちに女が後藤に惚れているらしい事が薄々わかってきた。女と後藤はそう長い付き合いではないが、後藤が引っ越してきてから何回もお互いの事を話し合っていたらしい。  後藤はもしかして女を自慢する為に俺を呼んだのか?やっぱり後藤は信用できない奴だと思っていると、女が言った。 「そうだ、今からコッチに来ませんか?その部屋何もないでしょ?」     
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