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それでも悲嘆にくれることがないのは『(イケメンに限る)』理論が適用されるからだろう。
どんなに下手でも女の子はイケメンの場合に限り『カワイイ』という言葉で優しく対応してくれるし評価は下がらないのだ。
そんな中嶋を恨めしく思い、飯野に嫉妬しながらいつも合コンの幕は閉じる。
つまり。
オレはオレのセッティングする合コンで一番の添え物になってしまった。
フレンドリーで誰とでもすぐ打ち解けられるオレは、目の保養レベルのイケメンと耳が幸せレベルの歌うまがいるグループのマネージャー的な立ち位置になってしまったのだ。
しかし今更別のメンバーを選出するのはある意味もったいない。
中嶋と飯野がいる限り、合コンのセッティングには困らないのだ。
そしてオレは決意した。
カラオケで100点を取ってみせる!
飯野でさえ100点は出したことがないのだ。
とびきりイケメンじゃなくても100点を出せば女の子たちだってオレに注目するに決まってる。
そうしてオレのカラオケ猛特訓の日々が始まった。
高校時代は原曲をしっかり聴き込み音程を合わせることと、ビブラートを習得したところで満足してしまった。
今回はしゃくりやこぶし、一番難解なフォールも会得しない訳にはいかないだろう。
しかし加点はそれだけではない。
抑揚やロングトーン、安定性、リズムなど。
ビブラートはタイプ別に評価されたりもする。
全体的には音程と表現力とに集約され、どっちかだけでも100点には辿り着けない。
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