モテの条件

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 オレは100点を取るまで毎日カラオケ店に通うと誓った。  ヒトカラで同じ店だと店員に練習してることがバレバレなので適当に渡り歩いた。  一週間も過ぎた頃オレは普段立ち寄らない街のカラオケ店で中嶋に会った。  中嶋だってこの辺りには来ないはずだ。 「もしかして練習とか?」  オレの言葉に中嶋は顔を真っ赤にしてエヘヘと笑う。  女の子が音痴なのを許すのもこの笑顔のせいだ。  生まれつきモテ要素の九割を持っているのに努力も惜しまないとは。  イケメンに胡坐をかいていない姿勢は評価できる。 「じゃ、オレが教えてやるよ」  この日からオレたちは一緒に練習した。  オレは今まで一生懸命培った知識とテクニックを惜しみなく中嶋に教えてやった。  中嶋ときたらビブラートの原理すら分かってなかったんだ。 「ビブラートを感覚でやろうとするからダメなんだ。ビブラートにもちゃんと楽譜をイメージすんだよ。音が一定の間隔で上下する楽譜をな」 「なるほど! そういうことか!」  中嶋は素直にオレの指導を吸収し、一ヶ月も経った頃には80点を出せるまでになった。  オレはテクニックを駆使し90点台に到達したものの、あくまでカラオケで点数の稼げる歌い方でしかなかった。  聴き心地の良さでは飯野に敵わないのだ。  そんなの初めから分かってる!  それでも100点を出すことに意義があるんだ!
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