モテの条件

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 じゃあ今日は修行終了記念に無心で歌を楽しもう、ということになり晴々とした気分でカラオケ店に向かう。  すっかりオレの横にいるのが定番になった彼女も一緒だ。  点数のことなんて気にせずオレは気持ちを込めてラブソングを歌う。  気にはしないがつい採点機能をオンにしてしまい、83.936点なんて微妙な点数を彼女に晒してしまった。  彼女は上手! と手を叩いて喜んでくれた。  これでいいのだ。  歌は心で歌うもんだ。  点数なんて関係ない。  100点取ったからってモテる訳でもないんだ。 「中嶋も点数なんか気にすんな!」 「うん!」  そうイイ笑顔で歌い出した中嶋にオレは固まった。  なんだ?  なにが起きている?  アレ?  スピーカーおかしい?  マイク?  あ、本人歌唱バージョンてこと?  え?  目の前で起きている現象が理解できないまま歌は終わり、気がつけばモニターに点数が出ていた。  100.000点  初めて見た。  まぐれ、まぐれに決まっている。 「中嶋君すごいんだね!」 「いや、昔っから100点しか出なくていじめられたんだよね。でもなんで100点になるのかが分かんないから上手に点数落とせなくてさ」  なにを言っているんだ?  どういう意味だ?
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