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中から出てきたのは、プラスチック製の白い飛行機。電池式で、スマートフォンで動かせる。
準備を怠れば、成功するはずの任務が失敗することもある。
特に今回は、日本の頂点に立つ人間を暗殺する必要がある。当然難易度は高いし、失敗は許されない。
俺はスマートフォンを操作する。ゆっくりと、飛行機が姿を消した。
いや、実際に消えたわけではない。よく目を凝らせば多少の違和感くらいはある。だが、それと知らない人からすればそれが飛行機だとは思いもしないだろう。
いつだって、新しい技術の最初の使い道は、軍用だ。
米軍の光学迷彩の技術は、民間に公開されているそれをはるかに凌駕する。それを拝借しているのだから、警察ごときが想定できるはずもない。
「いつ見ても凄いですよね、それ。その中に、ちっちゃい船を沈められるくらいの爆弾が入ってるんでしょう?」
目をきらきらさせる相方に、俺は呆れる。
「誰から聞いたんだ、それ。この爆弾で沈められるのなんて、せいぜいヨットかボートくらいだ。その程度のモノにいくらコストがかかってると思う?戦争っていう観点じゃあ、完全に無駄遣いだよ、これは」
「よく払えますよね、一千万なんて大金。クライアント、どこのボンボンなんですか?」
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