Reiwa 1

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Reiwa 1

 外苑の桜はとうに散ったにも関わらず、皇居周辺は人でごった返していた。  ここに住む人々が神と同等だったのは、七十年も前のことだ。にも関わらずこれだけ人が集まるのは、日本人がミーハーだからなのか。  こちらからすれば「仕事」がやりやすくて助かるが、どうにも釈然としない。 「人ごみには慣れてますけど、何もこんなところでやる必要あったんですか?ちょっと待ちゃ、パレードで向こうから顔出してくれるって言うのに」 「クライアントの意向だ。効率を重視した結果だとさ」  不平を言う相方を諌めながら、押し流されるように庭園の中に入る。  対象がギリギリ見えるか見えないかくらい。最前列を取る気はなかったが、予想より人の数が多い。俺は苦い顔になる。  わあっと歓声が上がり、すぐに沈黙が訪れる。  ガラス越しに、手を振る男の姿が見えた。この国の、新しい皇帝(エンペラー)。 「どうします?」 「一旦待とう」  そう言いながら、俺はコートを脱ぐ。このコートは特別製で、中に大きな空間があり、硬いものを入れてもちょっと見たり触ったりしただけでは分からない。しかも、取り出すには少々コツがいる。     
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