プロローグ

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 わたしとイチの通う綾川高校は、都立の中でも十指には入るくらいの、いわゆる進学校だ。 それでもいるのだ、目立つやつらが。 入学式からこっち、九クラスある中で目立つやつらは徐々に徐々に群れ始め、クラスや部活の枠を超えて集団を形成する。 金髪や茶髪にピアス、洗練されたアクセサリー、制服の着こなしもとい着崩しがばっちり決まっていて、魅力と自信、両方を兼ねそなえた男女。 男子は女子に慣れていて、女子は男子に慣れている。 まさしく美男美女の集まりで、廊下の中央をたわむれながら歩く足どりもスマートだ。 成績は決して悪くないけれど、生徒にも先生にも一目おかれている。 それを逆手にとって楽しむような……アウトローとの境界をわざわざ踏むことで注目を集めたがる、そんなお祭り騒ぎのメンバー。 尖ったところか群れる様子か、はたまた派手な外見からか、誰かがスズメバチに例え始め、彼らはチーム・フォネツと呼ばれている。 綾川高校のフォネツ、スズメバチ軍団。 今では、物心ついた時には隣にいたわたしのかわいい弟分のイチは、そんなフォネツの一員。 いや、トップだった。
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