僕の幸せ

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僕は、とても幸せだ。 先週、僕のクラスが戦場に駆り出され、結構仲がいいと思っていたクラスメイトが死んだけれど。 僕は、とても幸せだ。 赤子の頃に親に捨てられ施設で育ち、その施設からも数年前に捨てられた僕を含めた「可哀想なこどもたち」が集められたこのクラスで、毎日厳しい訓練をしているけれど。 僕は、幸せだ。あの子に恋をしているから。 あの子に恋をしている自分は、なんだか少しだけ強くなったような、誇らしいような気がする。 僕は、あの子に恋をしてから幸せになれた。 同じクラスの女の子。 僕の席から前に5つ、左に3つ数えた席の女の子。 この教室では接点なんてないけれど、戦場では彼女は必ず毎日声をかけてくれる。 僕は、恋をしている。 背中の真ん中辺りまである長い黒髪をいつも無造作にひとつに束ねているあの子に。 お世辞にも綺麗とは言えないあの子の髪は、とっても、とっても…。
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