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AIの妖精
「お父さん、大丈夫?」
深夜三時頃に、絆は父親が心配になって二階の自宅からコンビ二店舗に降りてきていた。
日本最大のコンビ二チェーン<8-12>では、この二階が自宅のシステムが標準であり、何といっても通勤時間ゼロ分、通勤費ゼロだとその効率性を誇っていた。
<8-12>米国本部は朝8時から夜の12時まで営業であるが、何故か日本支部だけ24時間営業である。日本人は働き過ぎだと言われる訳だ。
父親の春樹は案の定、コンビ二のレジで眠りこけていて、母親の妙子は仮眠中である。
「父さん、疲れたね。絆がレジ打つよ。寝ててね」
絆はバックヤードの更衣室で制服に着替えてレジに立つ。
過疎が進んだ地方都市の深夜三時ではさすがに客が途絶える。
だが、店舗の指導をしてくれているSVさんによれば、深夜に営業しないと昼間の売上げが三割落ちるそうで、バイトがいないと父親の春樹がレジに立つようにしていた。
絆からみたら、もう店を閉めてもいいんじゃないかと思う。
絆も眠い目をこすって必死で耐えていたが、ついにあまりの暇さに立ったまま居眠りをはじめた。
その時、POSレジの上に不思議な立体映像が浮かび上がった。
エメラルドグリーンの髪、ブルーの瞳で透明の翅をもつ、掌に乗るぐらいの妖精のような少女である。
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