75人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえねえ、その話って本当かなあ? ぐぐってみたりした?」
私が話掛けると、話を持ち出した子が私の方を向いて、
「なにー? アカネちんもこういう話興味あるのー? んー、いちおーお客さんには見せてもらったよ、写メ」
言うと、その子はスマホを取り出し、お客さんのLIMEだと思う画面を出して、写真を私に見せてくれた。
それは、古茶けていて、雨風に晒されてボロボロのお堂だった。スマホの画面をピンチアウトして画像を広げた。
「ここ見て、この石。この石に自分の血を垂らすんだって。見てよ、気持ち悪い色してない? これ見るとさ、本当にあるんじゃないかなって思うよね」
お堂の前にある大きな丸い石は、赤茶けていて、ところどころくすんでいる。本来、石ならば灰色をしていると思うが、これは鉄が錆びたような色をしていた。
「場所は? 聞いた?」
私は写メを見ながら訊くと、その子は首を縦に振って、
「ほら、ここの近くにある高見山ってあるじゃない。あそこのどこかにあるらしいよ。この写メはなんかSNSで拾ったらしいけど」
「……へえ」
私はそれからゆっくり自分の場所に戻ると、検索エンジンで「高見山 指切り堂」と検索をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!