一人目

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「ねえねえ、その話って本当かなあ? ぐぐってみたりした?」  私が話掛けると、話を持ち出した子が私の方を向いて、 「なにー? アカネちんもこういう話興味あるのー? んー、いちおーお客さんには見せてもらったよ、写メ」  言うと、その子はスマホを取り出し、お客さんのLIMEだと思う画面を出して、写真を私に見せてくれた。  それは、古茶けていて、雨風に晒されてボロボロのお堂だった。スマホの画面をピンチアウトして画像を広げた。 「ここ見て、この石。この石に自分の血を垂らすんだって。見てよ、気持ち悪い色してない? これ見るとさ、本当にあるんじゃないかなって思うよね」  お堂の前にある大きな丸い石は、赤茶けていて、ところどころくすんでいる。本来、石ならば灰色をしていると思うが、これは鉄が錆びたような色をしていた。 「場所は? 聞いた?」  私は写メを見ながら訊くと、その子は首を縦に振って、 「ほら、ここの近くにある高見山ってあるじゃない。あそこのどこかにあるらしいよ。この写メはなんかSNSで拾ったらしいけど」 「……へえ」  私はそれからゆっくり自分の場所に戻ると、検索エンジンで「高見山 指切り堂」と検索をかけた。
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