一人目

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 検索エンジンをかけると、誰かのアップしていた記事がヒットした。  そのURLを踏むと、私はそれを見た。  確かにさっき見せてもらったお堂が載っていた。薄暗い祠がそっとそびえている。 (何々、昔指を切った遊女たちの指塚。梅毒などで亡くなった遊女たちを祀ってある……)  私は興味をそそられてしまった。  場所は曖昧にしか載っていない。でも、高見山なら、車で行ける場所だ。  私はここに行って、約束を果たしたい。そう思ってしまう、何かがこの記事に魅力があった。指がここに祀られている。私たちのような遊女にも淡い夢というものがあるんだ。 「アカネちゃん、山本さん、3時間コースね」  ボーイが待機室に入ってくるとそう告げた。私はそれを聞いて、 「はーい」  と、返事した。荷物を持って、プレイする部屋へと向かう。  山本、この人こそ、私の理想とする結婚相手。  週の半分は3時間コースで入ってくれる。どこかの会社役員をしていると聞いている。  今はまだ昼間で、普通の仕事をしている人間なら、まだ会社内である。こんなに週のほとんどを自由に出てこられるくらいの重役ということである。  山本はバツイチで、私にどっぷり浸かっていてくれ、毎回スイーツのお土産まで買ってくる。ただ単にプレイをするだけでなく、私とたわいない話をするのも好む男だ。私と話す時は楽しそうで、私に触れて果てるときは恍惚としている。私からしたら、御しやすい相手だ。  年齢は五十手前。顔は、まあ、普通。どこにでもいそうな中肉中背のおじさん。  私はこの男と指切りをしたい、そう思ってしまった。  きっとこの男なら、私を自由にさせてくれるだろう、この時はそんな淡い希望を抱いていた。
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