横溝家の一族

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「……っ!」  そこには、猟銃を構えた要蔵氏が待ち構えていたのだ。 「ま、待ってくださ…」  そして、手を前に慌てて制しようとした瞬間、パーン! と乾いた音が鳴り響き、銃口からは火花と白い煙が噴き出す。  その散弾に撃ち抜かれ、僕は死んだと思った…………。  だが、しばらく経っても、体のどこも痛くはない……。  不思議に思い、硬く瞑った目を開くと、僕の体は紙吹雪と紙テープ塗れになり、眼前には要蔵さんと松子奥様他、小梅さんに小竹さん、濃茶さん、死んだはずの智子お嬢様までが笑顔で立っていた。 「……ハァ、ハァ……ダマシテ、スミマセン……」  さらに背後から走って来た鎧武者も、面貌をとるとその下には佐清さんの白マスクが笑みに歪んで覗いている。 「おホホホ。ウェルカム・ドッキリ、大成功ですわね。ようこそ横溝家へ」  わけが分からず唖然とする僕に、松子奥様は愉しそうに笑いながらそう告げる。 「ど、ドッキリ……だったんですか?」  本当に殺人事件じゃなくて良かったのではあるが……また違う意味でヤバイおとなりさんのいる所へ引っ越して来てしまったみたいである。                          (横溝家の一族 了)
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