安達祐実の大ファンだっ!

4/7

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 店主が大きなプラスチック製の皿を持って来てテーブルの上に置いた。「こいつは店からだ。」 皿の上には大量の焼き鳥が串のまま並んでいた。四人は頷いたが誰も礼を言わない。この焼き鳥は結局テーブルの料金に含まれていることを経験的に知っていたからだ。だが店主も同じファンなのだ。嘘をつくはずが無かった。つまりは若干の割引と、串に敷かれている大量のレタスやキャベツが店の奢りだと理解していた。  店主が今度は自分用のビールの小瓶を手に、いそいそとテーブルにやって来た。彼が椅子に着いたとたん、サラリーマンがフライング気味に口を開いた。 「家なき子の第一話で犬のリュウが初めてすずの足許に近寄ったシーン、あのローアングルで捉えたシーンさ。あの時すずがリュウに、何もあげないよ、って言ったよね。あれが頭を離れなくてね。すずが可愛いだけの少女じゃなくて、しかもドラマが一筋縄でいかないものだと暗示しているわけさ。俺はあのシーンを想い出すたびにすずが哀れでいじらしくってネ…。」     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加