5、残念な刑事
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5、残念な刑事

 舟橋は防犯課を出て廊下をすすみ突き当りの大部屋に入った。同じフロアだとは思えない程、殺伐とした悪い空気を感がよどんでいた。  そこは刑事部だ。  凶悪事件を担当する捜査一課を始め、詐欺や知能犯の二課、スリ万引き強盗の三課、鑑識課といったバリバリの捜査の最前線が並んでいる。  舟橋自身少し前までこの場所にいたはずなのだが、少しの間離れていただけで別世界のように思える。やりがいのない防犯課の日々だが、人は楽な生活にはすぐ慣れてしまうのか、それとも刑事が非人間的で異常な毎日だったのか。    刑事部に現れた部外者に若手の刑事達は露骨に不審気な表情をし、顔見知りのベテラン刑事たちは嫌なものでも見たような苦笑いの愛想を浮かべる。 「舟橋さん今日はどうされたんですか?」  総務を担当するベテラン女性職員が声を掛けてきた。 「まぁ、ちょっと用があってな」  舟橋が探していたのは昔の部下で、現在は花の捜査一課長となった山西警部だった。奥のデスクに向かうとちょうど席に戻ったところらしい。     
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