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「川や湖の近くに住んでいらっしゃったんですか?」
「と言うよりも、地元は内陸側で、海よりも湖や川のほうが近かったんです」
真理子の答えに、明日夢は「ふむ」と考えた素振りを見せる。
「なるほど。わかりました」
「あの、それが何か?」
不思議そうにする彼女に、明日夢は手を振った。
「いえ、ちょっと原因究明の参考までにお聞きしておきたくて。それでは、今日の用件はこれでおしまいです。貴重なお時間を割いてくださって、ありがとうございました」
丁寧にお辞儀をする。真理子も慌ててお辞儀を返した。
「あっ、いえ……よろしくお願いします」
「お任せください。あ。こちらがお呼び立てしたので、ここの料金はこちらが払っておきますね」
「え。あ、ありがとうございます」
「いいえ。それでは、お先に失礼いたします」
明日夢は席を立つと、伝票を手に、もう一度会釈した。
レジで支払いを終えると、明日夢は携帯電話を取り出す。時間を確認すると、電話を掛けた。
「――あ。鏡子ちゃん? 今夜も夢渡りするよ」
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