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 明日夢と鏡子は、再び工藤真理子の夢に降り立った。水中では金魚が二匹泳いでいる。赤と黒の金魚だ。 「先輩。今日確か、夢主に会って来たんですよね? 何かわかりましたか?」 「あぁ。夢の概要もわかったし、原因もおおかた検討がついたよ」  水面のほうを仰ぎ見る。 「まず、結論から言うと、この夢は不安が原因の夢。何が不安かって言えば、彼女の場合は妊娠についての可能性が高いかな」  その説明に、鏡子は怪訝な顔をして待ったを掛けた。 「待ってください先輩。でも、夢主って独身じゃなかったですか? なんで妊娠だなんて話に……」 「今日会った彼女、左手の薬指に指輪をしてたんだ。でも、彼女のデータでは、鏡子ちゃんが言ったように独身。ってなると多分、婚約指輪の可能性は捨てきれない」  明日夢はさらに続ける。 「彼女は社会人だし、二十六歳だ。彼氏がいたっておかしくないだろう」 「――それで流産の心配ってことは、彼女……」  話を理解した鏡子に、明日夢は頷く。     
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