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「多分ね。金魚鉢になったのは、今回は単に彼女の家にあるからってところも大きいだろうけど……。水の入った器は夢主が手にするもの。ここでは胎内のイメージでもある。彼女は赤い金魚が入っていたところに、黒い金魚を入れようとする。さて鏡子ちゃん。赤と黒って言えば、何を思い浮かべる?」 「え? えーと……トランプ」  突然話を振られて、鏡子は戸惑うがなんとか答える。 「惜しいけど違うかな。ヒントは小学生」 「小学生ですか? 赤と黒……あっ! ランドセル! 男と女ですね!」  はっとして答えた鏡子に、明日夢は笑顔で頷く。 「正解。で、なぜか夢主は金魚鉢の中に落ちる。水場への落下は場所や状況によって解釈がわかれるところだけど、彼女のイメージする水場は湖や川だって話だから、多分ここでは妊娠の暗示、または試練。浮上しようとして何かに襲われ、殺されそうになるってことは、この状況を乗り越えようと思う反面、どうしても不安があって、それが悪夢として襲ってくると……まぁ、そんなところかな」  明日夢は淀みなくすらすらと説明した。 「だからこれは、不安が原因の夢なんだ。この手の悪夢は、俺達がいくら悪夢を断って本人に原因を意識させても、不安が解消されない限り、似たような夢を視ることになる」 「でも……、それじゃあ、どうするんですか?」  不安そうに見上げてくる鏡子に、明日夢は得意げに笑った。 「俺達の仕事は、原因を突き止めるだけじゃないんだよ。鏡子ちゃん」  彼は袷に入れていた筥迫から札を六枚取り出す。     
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