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 翌朝。明日夢は、父から渡してもらった夢主――要は、依頼主のデータに目を通していた。  ――夢主、工藤真理子。二十六歳、女性。事務職員として勤務。独身で、現在は独り暮らし。 「悪夢を頻繁に視るようになったのは、ここ二週間くらい前……か」  なんともなしにデータを読み上げながら、明日夢は頭を掻く。 「んー。やっぱり、このくらいのデータだとわかんねぇなぁー……」  やっぱり直接出向いたほうがいいか……。  資料に記載されている連絡先を確認し、明日夢は携帯電話に手を伸ばした。      ◆   ◆   ◆  待ち合わせの場所は、一般にも開放されているオフィスビルのカフェだった。明日夢が到着した時には、夢主である工藤真理子は先に窓際の席でコーヒーを飲んでいた。 「工藤、真理子さんですか?」  明日夢はコピーしてきた資料の写真を確認すると、彼女に声を掛ける。 「え? あ、はい。そうです」  唐突に声を掛けたせいで、真理子は一瞬反応に遅れた。 「よかった。お待たせしてしまって申し訳ありません」  そう言いながら、明日夢は向かいの席に腰掛ける。 「え? じゃあ、あなたが……?」     
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