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━━ドォンッ! かつてないほど大きな音がした。反射的に飛び起きる。心臓がドクドクドクと速いテンポで脈を打ち、呼吸も荒くなってくる。 今のところ音が聞こえてからの変化はみられない。音がしたのはとなりの部屋に面した壁。嫌でも怪奇現象と結びつけてしまう。冷や汗が肌を湿らす。電気をつけて、壁を見てみる。するとそこには人がぎりぎり通れるほどの大きさの穴が空いていた。僕はとっさに部屋の扉を開けて構えた。近くにあった掃除用のモップを片手にしばらく穴を観察する。そこから何かが出てくるのでもなく、吸い込まれるのでもなく、ただ穴が開いただけのようだった。  この状況に慣れてきたのか、だいぶ落ち着いてきた。時刻は深夜の三時。さすがに田んぼのカエルも静まり返っていた。改めて穴を観察してみる。破片の中には反対側の壁の近くまで飛んでいたものもあった。ますます物騒になってきたな。だけど、侵入する目的で穴を開けたのならもうすでに実行されていてもおかしくない。  だからと言って安心できるものでもなく、穴の向こうに何もないということを確認しなければ落ち着かない。 僕は意を決し穴を覗くことにした。穴は見れば見るほど不気味さを増してくる。出来るだけ音を立てないように近づく。きっと穴の先にはただ隣の部屋があるだけで、それ以外はなにもない。それを確認して僕は眠るんだ。気休めにもならないことを考えつつ体は震えていた。さっさと覗け。覗きます。覗いた。  
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