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「森役場から俺に払われる成功報酬から支払われるね」
「外貨がーっ!」
森の中で通貨が回るだけという事実に、アリシアは膝から崩れ落ちた。膝から崩れ落ちるのに慣れているのか、流れるように両手を床についていた。さっきまで持っていた竹カップはイサムがさっと取り上げたので安心して良い。
自分とアリシア、二人分のカップ持って流し場に行くと、さっと水でゆすいで乾燥棚に逆さに置く。
「そういう訳なので、明日の朝にチェックアウトするのでよろしくね~」
どこかで水滴が落ちる音がした。それはカップのふちから落ちる水か、それともアリシアの涙か。
翌朝は雲一つない快晴だった。
森のあちこちに争いの傷跡は残っているが、幸い大きな火事等もなく、死者も大怪我もなし、軽症者十数名程度らしい。それも森の医術師が癒したので、人的被害は実質ゼロと言える。
しかし、経済的な被害は甚大であった。
「名残惜しいです」
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