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「そんな神樹アパート101号は1LDKの角部屋、敷金礼金各一か月、家賃は共益費込みで十二万ネイと、相場だけをみると都会と同等の高さに感じますが、総神樹製である点や築浅等の好条件も揃っており、大変お得な物件となっております。大樹の森に引っ越す予定のある方は、是非一度内見をしてみてください」
するすらとセールストークを口にするイサム。
「覚えちまったじゃねぇか」
恥ずかしそうに頭を掻きながら、吊るしている武具の整備を始めるべくクローゼットに入って行った。
かように、毎朝イサムの部屋に行って宿泊費を請求する生活をしていたある日、宿泊以来初めて呼び鈴に応答しない事があった。その日は森に封印されていた太古の邪霊が解放されたとかで、森の精鋭が邪霊退治に赴くと同時に、消防隊員の人たちを先頭に森のみんなで声を掛け合いながら非難をしている状況にあった。本当であればアリシアも真っ先に逃げたいところを、大家としての責任感から宿泊客への避難誘導に来たというわけだ。
「なんでこういう日に限って居ないんですか!」
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