初夜の二人

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初夜の二人

尾張のうつけに嫁いで最初の夜。 2月の気温は冷たく。火鉢で手を温めながら夫となった人を待つ 部屋に一組だけひかれた寝具。とても官能的だった 手が震えるのはきっと寒さのせい。 襖が開けられ白の夜着に身にまとった 夫が入ってきた。 夜具の隣に腰を下ろしたのを確認すると 両手をつき頭を下げる。 「斉藤道三の娘、帰蝶と申します。末永くよろしゅうお願いいたします」 「ああ」 面をあげよ、と言われ体を起こすと視線が絡み合った はじめて夫の顔をじっくり見た。女顔ではあるが整った顔立ちをしている。 「穴が空きそうじゃの」 そういうと夫はクスクスと笑った。 会話が続かず沈黙が続く。 お酒か白湯などお飲みになりますか?と聞こうとすると夫が先に口を開いた。 「わしらは尾張と美濃に縛られる。一応  和睦はしたが信用できるほどお主を知らん」 だから、と一息つきながら夫、信長は言った 「お主の事はまだ抱かん。今 子が出来ても困る。それに、わしは女には困っておらん。この城のなかでゆるりと暮らすと良い」 「………」 「だが、一応は・・・」 少し我慢せい・・信長はそう言いながら帰蝶の着物の合わせに手をかけると少しだけ肌を露出させると強く吸いつき至るところに印を残していった。 「これでいいだろう」 そう言うと夫は寝具に横になった。 「そなたも休むが良い」 そう言われ信長の隣に横になる。疲れているのかすぐに目で眠りに落ちていった。 翌朝 目が覚めると夫の姿はなかった 着替えを手伝ってくれていた侍女たちが 口々に喜びを露にする まぁ・・ こんなところにも、ここにもと・・ ご寵愛の印がたくさんと頬を 染めて話しかけてくる。
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