フルーツバスケット

2/2
前へ
/2ページ
次へ
高校の入学式が終わって、体育館から教室に移動する。 色んな中学からの寄せ集めで、新クラスメートは構成されている。 同じ中学からの顔見知りは5名ほどで、あとは知らない顔ばかりだ。 「よぉ、お前もこの高校だったのか?」 後ろから肩を叩かれる。 「まあ、な。知り合いがいて助かったよ。」 「良かったら、こっち来いよ。みんないるから。」 同じ中学だった時は、2~3度しか話したことのない顔見知りでも、 知らない顔ばかりの高校だと、心の距離は縮まる。 教室に4~5名の集団が、8集団ほどできている。 みんな同じ中学の顔見知りとは話すが、 他のグループには、よそよそしい。 新担任が入ってきて授業を始める。 最初の授業は自己紹介を兼ねたオリエンテーション。 机を教室の隅に押しやって、イスを丸く並べて フルーツバスケットをする。 人数より一つ少ないイスで輪を作る。 鬼が一人真ん中に居て、 「○○中学出身の人」と言えば ○○中学出身者が、別の席に走って移動する。 イスに座り損ねた人が鬼で 「中学の時、テニス部だった人」と言ったら テニス部出身者が立ち上がって席を取り合う。 鬼が「フルーツバスケット」と言えば 全員が席を移動する。 繰り返していると、色んな中学出身者が混じっていく中 常に、隣の席の人に話しかけている人がいた。 「なぁなぁなぁ、こないだな、こんなん、あってんやぁ。 それで、こうで、こうで、こう言ってるねんけど~」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加