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彼女の手にあるのは小さな紋章――そう、ボスに見せられた敵国の証しで間違いなかった。
視界に入ってしまったルギはニッと笑い、ブイサインをする。褒めてほしいアピールをしている。
「さすがだな。ほんと助かった、ありがとぉな」
素直にそう思い、自然と口に出していた。
褒めてほしいんならいつでも褒めるけど。
っていうか、今って膝枕――
「ルギさん? エヴェルギさん? この膝枕はどのくらいしてました?」
その問いに「う~ん」と。
「30分くらい、ですね」
思ってたより長いっ!
「ごめん、すぐ退くから」
膝枕してもらうことはうれしい。
美少女に膝枕してもらって頭撫でられることが嫌なわけがない。
けど、それを相手に付き合わせることはない。同意の上ならいいと思うけど。
申し訳ない、と腕を地面について体を起こそうと力を入れた。
が、
「あ、ちょっとマスター。まだ寝てていいですよ!」
両肩を掴まれて、遮られてしまった。
「もう大丈夫だって。そんなに心配しなくても――」
「マスターの『大丈夫』は信用できないのです。いいから寝ててください」
……いや、そんなこと言われてもな。
確かに、まだ意識がぼんやりするけど、このくらい。
真っ直ぐ見つめられた瞳に気づき、少しうるうるしているように見えた。
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