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「腹をすかしているんじゃないか? 今となっては落ちてくる動物くらいしか食いもんがないからな」 「よい話をありがとうございました」 男の後ろに人形が見えるようだった。 新鮮な食べ物を探している、陶器の人形が肩の後ろの暗がりにいるように思えて仕方がなかった。 「ルイスさんよ、もし穴の底のドールに会ったら教えてくれ」 一杯分には多い金額を男の前に置いて、ルイスは席を立った。酒場の主人に支払いを済ませ、宿へ向かおうと店の外へと出た。夕暮れが近づいてきていた。ガス灯なんてものは領事館や裁判所の前くらいにしかない。夜の闇が支配する前に宿へと着いてしまいたかった。 明日、街道を通って城へ着き、城で夜を明かすとして。 人形の落ちた穴が気になってしまうだろう。 松明の日の照らす先、穴の底で蠢くもの。 白と赤の対比が頭に浮かびそうになって、ルイスは頭を振って先を急いだ。 end
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