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「気をつけた方がいい」 「野盗ですか?」 「いや、城の南西の森にある深い穴には近づかない方がいい」 「なぜ?」 「医者はそこに死体を捨てたらしい。あまりに深すぎて衛兵も降りられなかった」 「詳しいですね」 「城の使用人に話を聞いたのさ。ここだけの話だ。まあ、信じないだろうが」 男が背を丸めて、声のトーンを落とした。死体は城ではなく森の中にある。それが知れればもう男の話にはさほど興味を惹かれなかった。 「二人の衛兵に死体の在処を問いつめられて、その医者は森の中の穴へ連れて行ったそうだ。その時に、ドールを持っていくよう衛兵に言った」 「はあ」 「離れたくないとか言って運ばせたのだろう。穴の底からは何とも言えない匂いが上がって来ていた。腐臭だろうな。穴は深く簡単には降りられない。ドリーネだったか。とにかく深い穴なんだ。だから衛兵達はその場では穴に降りず、後日調査しようと話し合った。その時だ」 にい、と男の口角が上がった。 衛兵が抱えた子供のおもちゃ。それは白い陶器の肌に赤い服を着ていたという。さぞや衛星には不釣り合いだっただろう。     
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