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空に輝く青い星。 真っ暗な宇宙に浮かぶ故郷を、外から見ようとシャトルに乗る人々。 今じゃ宇宙もメジャーな旅行先になった。 「おい、湊。ちょっと瓶買いに行ってきてくれ。月の空気用の瓶が足りねぇんだよ」 「嫌だよ。ちょっとって距離じゃねーし」 いち早く土産物屋を始めた親父に連れられて、はるばる月までやってきた。 月土産は月の石。月の空気。月饅頭。月煎餅。 空気と石以外は地球から持ち込んだ物だ。 何が月土産だよ。 それでも月で唯一の土産物屋は、法外な値段にも関わらず売れている。 「すぐ隣じゃねーか。つべこべ言わずに行ってこい」 「親父の使いっ走りするために宇宙飛行士になったんじゃない!」 「あーそうやって自分一人で大きくなったような顔して、父ちゃん悲しい……」 嘘泣きするな! 「今度火星土産も売ろうと思うんだ。帰りに火星で石とってきてくれ」 「だから! そんな簡単に言うなよ」 「すぐ隣じゃねーか」 「..............」 お土産って何だろう。そう思う今日この頃だった。
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