隣よりも近く

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 だんだん、だんだん、動きが静かになってくると、私はたっちゃんを腕の中に包むようにして背中をさすった。  ほどなくして、ぽっこりとしたお腹はゆっくりと一定のリズムを刻みだす。すー……すー……すー……すー……。耳を澄ましても、聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな寝息。  たっちゃんの足が、私のひざに触れている。大きくなったなあ。あんなに小さかったのがうそみたい。  本当に何もできなかった生まれたての頃。今は毎日のように新しいことができるようになる。わがままだって、いたずらだって、できるようになった。成長を見られる度、私もパパも、嬉しくて声をあげてしまう。  ――――――さて、今日も一日が終わった…。  布団をかけてあげたいけれど、たっちゃんのおでこはぴったりと私の胸に寄り添っているので、もう少しのあいだ動かないでいることにした。  こんなふうに、ぴったりくっついて。涙もよだれも鼻水も汗も、日々ぜんぶ入り混じって。  お風呂もトイレもなんでも一緒。365日、24時間、こんなに誰かと一緒にいるなんて、すごいことだなあ。  たぶん、私は今、たっちゃんの一部。  けれど、と思う。  こんなにも、こんなにも、近くにいるのに――――たっちゃんはこの時間を忘れてしまう。     
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