隣よりも近く

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 でも今日はパパのいじわるでいっぱい泣いたから、ママが「しかたないわね」って座ってくれた。  ママのひざに頭をおいて、目をつぶって。時々ちょっと痛いけど、やっぱり気持ちいい。耳の中をごそごそ…耳の外側をくるくるなぞって……あ~あ眠たぁい。  「はい、終わり」ママが肩をポンとたたく。ええ、もう?  「あともうちょっと。あと5分」  「もうないよ、きれいだよ」  「あとちょっとだけぇ」  「ママ、おひざ痛くなってきちゃった」  「やだあ」  ママのひざに顔をうずめてぎゅーっとしがみつく。ママが「あと少しだけよ」とまた耳をこちょこちょしてくれた。  あと、ちょっと、だけ……。  うっとりと目をつぶっているうちに、だんだん頭がぼんやりして。  ふと気づくと、ママがわたしの頭をひざから持ち上げ、抱っこした。体がゆらゆらして。ドアの開く音。体が下がり、おっと、ちょっとぐらっとした。足をのばすようにお布団の上に置かれる。  カチ、という音とともにまぶたごしの光が優しくなる。あんまり気持ち良いからこのまま寝たふりをしていようかなあと思ったけれど、お布団をかけたママが部屋を出ていこうとしたから、わたしは「やだあママも寝るの」と声を出した。  「ママはまだお片付けがあるから寝れないよ」と困った声でママ。     
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