1人が本棚に入れています
本棚に追加
「お片付けは明日やろうよ。いっしょにお布団に入って」
右手でママの手をひいて、左手で持ち上げたお布団の中にママが横になってから、わたしは目を閉じた。
暗い部屋で寝るのはまだ少しどきどきするけど、ママがいれば怖くない。
夜、たまたま目が覚めたときにママがいないと不安でたまらない。だからそうならないようにぎゅっとママの腕を抱いて寝る。
それでも目が覚めてママがいないときは、いっしょうけんめいママを呼ぶの。
そうしたら、ママはすぐに来てくれておなかをとん、とん、とん、ってしてくれる。すると、ああママがいるなあって感じて、眠れる…。
うん…だから、ママが隣にいたら大丈夫。……きっと、いろんなことが、大丈夫……。
記憶をなぞるのをやめると、ふっと目の焦点が合い私の視界が蘇る。
――――――お母さんはどうしてあんなにしてくれたんだろう。
最近、昔のことを思い出してはいつも思う。
大きくなってからも、私はとてもわがままだったし、きっとたくさん母を困らせたしがっかりさせた。でも母はいつも許してくれた。
反抗期で母に逆らってばかりだったときもたえず気にかけてくれた。大学生になり母の心配をよそに好き勝手に過ごしていたときもちゃんと叱り続けてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!