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その腕も足も、とても細く、ほんの少しのミルクを飲み、目も見えていない。私の助けがなければ生きていくこともできない命。
私は、夢中でお世話をした。
私がうまくできなかったせいで、この子が死んでしまったりしないだろうか。
そんな不安ではらはらしながらも、めまぐるしくあれやこれやと動いて育てていくと、たっちゃんはあっというまに大きくなっていった。
「ままー、ままー」
きっとお皿が見えたのだろう、せがむように足元で声をあげた。
「はいはい、あげるよ。でもこれはまだ熱いから、ふーふーしてからね」
早く冷めるようにと、別のお皿に移してあわてて息を吹きかける。少し熱いかなあ…ふーふー…よし、大丈夫だろう。キッズチェアにお皿を置く。
待ち切れずに眉を八の字にゆがめて泣いているたっちゃんを抱き上げてイスに座らせ、その袖をまくった。そして急いでたっちゃんの前に回って、目の前で両手を合わせる。
「お待たせ、はい、“いただきます”!」
たっちゃんはけろっとした顔で、すでにニンジンをつかんで食べていた。
「“いただきます”!」
何度やってみせても、たっちゃんはこちらを見つめたまま口はもぐもぐ、手は食べ物を次から次へと口に運ぶ。
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