隣の案内人

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個室は、通路の左右にドアが四つずつあった。 仕切り板と天井の間は大きく開いていて、背伸びをすれば中が覗けた。 俺は背伸びをしながら、中に人がいるかどうかをチェックした。 個室は奥に行くほど暗く、寝るのにはちょうどいい暗さだった。 手前の三部屋は、すでに若い男が眠っていた。 四部屋目を覗き込もうとした時、長い髪と華奢な背中が一瞬見えて、女性だとわかった俺は慌てて顔をそむけた。 そして、一番奥の男が寝ている隣の部屋を覗くと、人の姿はないが誰かの荷物が置かれていた。 まさか満室なのか? そう思いながら、女性の隣の部屋を覗くと、誰もおらず荷物もない状態だった。 俺はホッと肩を撫でおろし、個室の中に入った。 個室はギリギリ二人が並んで座れる程度。 横になって寝るには、パソコンテーブルの下に足を伸ばすしかない。 何処かから聞こえる男のいびきが聞こえる。 だが、パソコンもあるし、漫画だってある。 一泊するには十分な場所だ。
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