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「と、言うわけで、『お隣さん』に会いに来ました!イェイ!」
「イェイじゃないよ!ヤダよ!僕たちバスケ部の応援に来たんじゃないの!?」
「ユウタ、俺がそんな事の為に大事な休みを潰すわけないだろ」
ノリノリのコウキは「いざ、出陣!」と他校である北中学校の校舎に入っていく。
僕はビクビクしながらも、コウキを放っておけずに追いかけた。
僕たちが通っているのは西中学校。
今日は北中の体育館でバスケの試合が開催されており、いつもなら他人になんて興味を示さないコウキが、応援に行こうと言い出した。
やっと人に興味を持ち始めたのかと、僕は大喜びで賛成したのに、まさかこんな事になるなんて。
コウキは我が物顔でズンズン進む。
体育館では決勝の真っ最中で、校舎内に人影はほとんどない。誰かとすれ違っても、西中と北中はジャージが似ているので咎められる事はなかった。
2年3組の教室を見つけると、近くの男子トイレに隠れて下校時刻を待った。
「トイレの花子さんとか出ないかなぁ」
「やめろよ。ここ男子トイレだし」
「だよな。トイレの太郎くんとか居ればいいのに」
体育館での歓声を遠くに聞きながら、怪談は怪奇を呼ぶと信じるコウキに延々と怖い話を聞かされた。
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