第一章

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第一章

あそこにいるのは、よく少女漫画で主人公の恋を邪魔する悪女役だけど根はいい、引き立て役A。 その横で笑っているのは、モテるのに優柔不断で、主人公やその周りを無意識に傷つけてしまう、主人公B。 AとBの会話を聞いて静かにほほ笑む彼女は、引き立て役Aにいじめられながらも、周りの同情を買い、Bとめでたくハッピーエンドを迎えられそうな、主人公A。 そして、その隣にいる俺は、主人公Cにもなれず、引き立て役に回るけれど、主人公を引き立てられるような特別欠点があるわけでもないので、傍観者A。 ね。面白いでしょ? 人にはそれぞれ、キャラがあるんだよ。 もしかしたら、みんな『役者』なのかもしれないけど。 例えば。 あそこにいる、主人公Bはもしかしたら優柔不断なふりをしていて、主人公Aと引き立て役Aがもめているのを見て楽しみたい、主人公のふりをしている悪役Bなのかもしれない。 素朴な俺から見たら、みんないろんな色が混じっていて、気持ち悪い。 絵具を三色以上混ぜちゃいました、みたいな。 ……まあ、今話した登場人物はみんな俺の『友人』なのだけれど。 俺の友人たちは厄介だ。 主人公Bを中心とした『三角関係』。 俺も入れてくれよな。 ちなみにいうけど、俺は、主人公Aのことが好きだったんだよな。 今は、『だった』って無理やり過去形にして忘れようとしているけど忘れられてないから、SNSでかわいい子探してはダイレクトメッセージを送る毎日。 まあ、無理に告白なんかして今の関係が崩れるなんてことにはなりたくないからな。 絶対告白なんかしないよ。 だって俺、 【主人公にはなれないから。】
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