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「ごめん。もう、大丈夫だから」
「あっ、ちょっと馬締くん!」
彼女から逃げるようにその場から走り去った。
危ない。
優しさに身を任せて、手を取るところだった。
僕なんかが彼女の力を借りるなんて、あってはならない話だ。
少なくとも、僕が生きる上では。
3年生一学期。
新しいクラスの新しいクラスメイトに馴染もうと、みんなして必死だ。
まあ、僕には関係ない話だが。
僕は頑張ったところで、みんなに嫌われているから友達などできない。
僕という人間は、生まれた時からそうと決まっているみたいだった。
「おい真面目くん」
短髪の背の大きい男子が僕の机によってくる。僕は黙って、目を合わせないようにした。
「お前、さっき佐倉さんが助けてくれたのにお礼もなしかよ?」
隣のもう1人のピアス男子が口を開く。
「お前みたいなキモい眼鏡やろうが佐倉さんに声掛けてもらってんじゃねぇよ!分かったら失せろ」
ガンッッ!!!
机が蹴られて、僕の腹は椅子と机に挟まれて押しつぶされそうになった。
またか。
面倒くさい。
僕は黙って机を直し、何事も無かったかのように本を開いた。
ひそひそと囁く女子。
クスクスと笑う男子。
僕の存在はゴミクズだった。
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