第1章 友達になろう

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みんなから蔑ろにされ、真面目であることを否定され、それでも僕が生きている意味って、一体なんなんだろう? 本を持つ手が心なしか震える。 誰も僕を見ないでくれ。 誰も僕に気づかないでくれ。 放っておいてくれ。 心の中で何度もつぶやく。 僕は本を閉じて、机の下で拳をぎゅっと握った。 すると、ふいに目の前に影ができた。 「馬締春樹くん?」 上から声がした。 絶対に僕に話しかけるはずがない人の声だ。 僕は恐る恐る上を見上げる。 「やっぱり、馬締春樹くんだ。やっと同じクラスになれた…」 そのクラスメイトは、春の日差しのような眩しい笑顔を僕に向けた。 日陰に捨てられたゴミのような僕に、微笑みかけた。 「あのさ、俺と友達になってよ」 春野春。あだ名はハル。学校一カッコよくて、才色兼備で、その上お茶目で誰からも好かれる。 そんな彼が、僕に、そう言って笑いかけた。
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