0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
みんなから蔑ろにされ、真面目であることを否定され、それでも僕が生きている意味って、一体なんなんだろう?
本を持つ手が心なしか震える。
誰も僕を見ないでくれ。
誰も僕に気づかないでくれ。
放っておいてくれ。
心の中で何度もつぶやく。
僕は本を閉じて、机の下で拳をぎゅっと握った。
すると、ふいに目の前に影ができた。
「馬締春樹くん?」
上から声がした。
絶対に僕に話しかけるはずがない人の声だ。
僕は恐る恐る上を見上げる。
「やっぱり、馬締春樹くんだ。やっと同じクラスになれた…」
そのクラスメイトは、春の日差しのような眩しい笑顔を僕に向けた。
日陰に捨てられたゴミのような僕に、微笑みかけた。
「あのさ、俺と友達になってよ」
春野春。あだ名はハル。学校一カッコよくて、才色兼備で、その上お茶目で誰からも好かれる。
そんな彼が、僕に、そう言って笑いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!