日課

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カタカタカタカターー。キーボードを叩く音がオフィス内に響く。電話のベルが鳴る。それに応対する人の声が聞こえる。会議室からはパワハラめいた怒鳴り声が漏れ出ている。 「はぁ」 私はそれらの喧騒に疲れて溜息をついた。 パソコンの時計をチラリと見る。時刻は三時前。定時まで、まだ三時間以上もある。そもそも定時で上がれるか不明だが。 スケジューラーを確認する。四時からクライアントと打ち合わせ。小休止するなら今しか無い。 鞄から小銭入れを取り出すと席を立った。実はこの小銭入れ、倹約の為、中身は毎日100円玉一枚だけしか入れていない。私はその100円玉で日課をこなす。 まだ初春だというのに、複数台稼働するパソコンが熱気を放ち、まるで常夏の様なオフィスから一時離脱した。廊下に出ると少し冷たい空気に触れてホッとする。 さらにオフィスの入った商業ビルを一歩外に出ると、爽やかな風に、街路樹の緑、そして太陽の光が、疲れた眼を癒してくれる。
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