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しかし間の悪い事に、仕事でトラブルが発生し、翌日から私は多忙を極めた。休憩を入れる暇など無く、帰りがけにコンビニを覗いてみるものの、シフトの時間帯ではないのか、件の店員の姿は見えなかった。
他の店員に預ける事も考えたが、やはりお金の事だからと、直接返せる機会を待った。
その間ずっと、借りたままの100円が頭から離れない。
こうしてみると100円というのは、何とも微妙な金額だ。
例えば道にお金が落ちていたとする。500円玉なら無条件で拾うだろうが、100円玉ならどうだろうか。私は多分拾って、得した気分になるのだろうが、時と場合によっては無視するかもしれない。
では軽視に値する金額かと言うとそうでもなくて、例えば過去、一つの募金箱に投じた私の最高額は92円である。その時財布に入っていた50円玉以下の硬貨を全部入れた。100円玉は正直、入れる気がしない。100円で買える物というのは、世の中に存外あるからだ。
その100円を貸してくれた彼は、今どう思っているだろう。借り貰いされた、騙されたと、悔しがっているだろうか。
ようやく仕事がひと段落し、明日には彼に返す目処がたったのだが、彼の心情を想像して私の気分は重かった。
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