第3章

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「お前の方は色々と大変そうだな。交際は順調か」 「悩みは尽きないが、順調は順調だ」 「そうか、それならば良い。協力は惜しまない」    いつもながらの親友の言葉に礼を述べて自席に座った。    やがて片桐も登校して来た。いつもの様に視線だけを絡めて彼も着席する。   しかし、心なしか顔色が優れない。    自分が昨日無理をさせてしまったからなのか……と心配しながら授業を受ける。    時間が経つにつれて、彼の様子がますますおかしくなっていった。  得意な英語の授業でも彼らしくない平凡な間違いをし、教員にまで心配される始末だった。    血相を変えた教員が教室に入って来たのは昼休みだった。    級友達が何事かと皆注目する。 「片桐君、直ちに院長室に来たまえ」    その言葉を聞いて血の気が引いた。教室のざわめきをどこか遠いものに感じた。
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