第2章 母への怨念(ユウ)

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帰りの車の中で明日香が質問する 「パパ、何か隠していない?本当は分かっているんじゃないの?」 父は即答で 「分からん」と一言 「じゃあ、何となくでいいからパパの意見聞かせてよ」 「本当に分からないんだよ。後で調べてみるけどな。」 「調べるって?」 「能力に詳しい奴に聞くだけだよ」 「そんな人いるの?」 「まあな」 「じゃあ、私にも調べたら教えてね」 「分かったよ。」 父は携帯を取り出し、電話を掛けた。 通話をスピーカーにして会話を始める。 家に着くまで、これまでの経緯を全て話し終えると、スピーカーから男性の声が聞こえる。 「じゃあ、皆に聞いてみます。まだインターネットは見れませんか?」 「あれは良く分からん」 「そうですか、じゃあ後で電話しますね」 「よろしく」 父は電話を切った。 私は「今の何?」 「あ~仲間だ」 「仲間?」 「同じ能力を持つ仲間だよ。 以前、奥さんの病気を治そうと思った時に、同じ能力を持つ人を探した事があった。この近辺ではいないので、東京に行って人が集まる場所に探しに行った時に、向こうから俺に話し掛けてきたんだよ」 「そして、何だかインターネットの番号を教えてくれたんだけど、良く分かんないから、分からない事があると電話しているんだよ。」 「ねえ、そのURL教えて」 「URL?」 「もう本当に分からないの?インターネットの番号の事よ」 「番号の事か、難しい言い方するな」 「本当に分からないのね」 「家にあるから、後で教える。」 そして家に着き、早速父からURLが書かれた紙をもらう。 リビングに私のノートパソコンを持って来て、紙に書かれたURLを打ち込む すると、何も書かれていない真っ白のHPが立ち上がった、 真ん中にリンクが張ってある文字ボックスがあり、そこにはログインと書かれていた。 私はログインボタンを押すと、IDとパスワードを要求する画面に変わる。 父に「IDとパスワードって分かる?」と聞くと、父は心当たりがあるのか 「ちょっと待っててくれ、確か部屋にあると思うから」と言って自分の部屋を見に行った。 5分程経ち、父が戻ってきた 「これか?」と紙切れを渡される。 私はIDとパスワードを入れてエンターキーを押す。 すると、画面上部に文字を入力する場所があり、その場所の下に送信と書かれたボタンがあるだけだった。 「これって何?」 父は携帯を取り出し、受信したメールを私に見せた。 すると、先程電話した人だろう人からのメールが届いていて、メールの中身は父が伝えた内容が書かれていた。 「これって?」 父はHP上の文字を入力する場所を指差し、 「ここに質問内容を入れて、送信すると皆にメールが届くんだよ。そのメールを返信すると、HPに返信した内容が書かれるんだよ」 まるでYAHOOの知恵袋みたいに、返信メールが画面上にアップされる。 さっきの質問に対してのメールも何件か届いていた。 それも返信してきた内容は、ほぼ一緒であった。 その内容は (それは、父のAは書斎にいたんだろうと思う。母に怨念か恨みをもっている人から守っていたんじゃないかな。強いAだと、その場所から目的のために移動できる。かなり強くて、自分で考える事が出来るAだと思う。かなりレアなAですね。母が見れたのもAの意志で母に姿を見せたんだと思う。その状況から考えると母に憑りついていた黒いAは、父が振り払っていて、もしかして書斎にいるのでは?だから父は家に帰さないように姿をみせたのではないかな?形になっていないAなら振り払えば2,3日で消えて無くなるから。) 別の人が続けて書き込みをしている (その少年も能力者なのでしょうか?父の行動を考えると、その家に能力者がいて力を得ていたのでは?そして、その子は能力が強いのでは?相当強く父の事を想わなければ、Aは力を得れないし、能力者では無い人が想っても力は得れない) 私は父に質問する 「このAって何の訳?」 「アバター(分身)のAって言ってたよ」 「その言い方のほうが言いやすいね。今度からAって呼ぼうっと」 ただ私はこの書き込みで、今までの出来事が少し解った様な気がした。 斉藤君が力を得た事でお父さんの力が強くなり、母を苦しめていた黒い影を振り払った。 その振り払った時の行動が、母は父が自分を殺そうと勘違いしたのだと思ったのだろう。 「パパ、これだったら斉藤君も無事だね」 「そうだな」 すると父の電話が鳴り、多分先程の人が、このサイトでの内容を父に伝えたのだと思った。 電話が切れたので、父に話掛ける。 「ねえ 早くこの事を斉藤君に伝えてあげなよ。多分、安心すると思うよ」 「おや?お前が男を心配するなんて珍しいな」 「バカ、男とか女とかの問題ではないでしょ」 「分かった、電話するよ。ただ、お前が電話してもいいんだぞ」 「私は嫌だよ。パパが電話して」 その時、お風呂が沸いた事を知らせる音が流れた。 「私、お風呂入ってくるから、電話しときなよ」 と父に言って、お風呂に入った。 私は湯船に入り、斉藤君のお母さんが入院した病院がある駅と私の通う学校がある駅が同じである事は、斉藤君に伝えるのをやめておこうと考えたのであった。 それと、父と斉藤君のお母さんって、どういう関係なんだろう?と疑問を抱いた。 ただの同級生では無い事だけは、確かであった。
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