第1章 二人の高校生

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僕とマスターは店を出て車に乗った。 ここから、車で家までは30分ぐらいかかる。 その間も、この能力の事について聞いた。 そして、家に着く間際 マスターが話始める 「明日香は、ああ見えても心が弱い、何かあったら助けてやってくれ」 「僕に助ける事が出来ますか?」 「難しいと思うが、この能力を持っている人しか分からない事だらけだから、悩みを聞くだけでいいんじゃないか?」 「そもそも僕に悩みを打ち明けますかね?」 「それでも打ち明ける時は、きっと相当悩んだ末での事だから、お前にとって、こんな事と思うような事でも、きっと相当悩んでいる事だから、軽く流さないでやってくれ」 「わかりました」 「それと明日香は店を辞める事になるからな」 「えっ 何でですか?」 「人の思いを受ける力があると、思いが強い客が変な思いを明日香に伝えると、明日香が感じとっちゃうからな」 「そんな事ってあるんですか?」 「たまに、俺を恨んで心の中で俺を殴る奴いると、叩かれた感覚を受ける。相手の思いが強い程、感覚も強くなる。ただ、具体的なイメージを持って思わないと感覚を受けないから、本当に稀だけどな」 「マスターの事を、そんなに恨む客っているんですか?」 「あ~ アルバイトの子を辞めさせた時が多いかな」 「なるほど」 そんな話をしていると、車は僕の家の前に止まった。 家は暗く、母は夜勤らしい。 マスター「家は誰もいないのか?」 「はい。今日は夜勤みたいなので」 マスター「夜勤?」 「あっ、看護師なんです。喫茶店の近くにある「丸山総合病院」に勤務してるんですよ」 「君って斉藤だっけ?もしかして、お母さんの名前って「めぐみ」?」 「えっ 知っているんですか?そうです。めぐみです。」 「あ~高校の時の同級生だ。ちなみに俺の奥さんも同級生だった。」 マスターの顔色が変わったのが分かった。 マスター「俺と会った事言うなよ」 僕はマスターとの関係を考えてしまう。 するとマスターの心の声で (男女関係では無いから心配するな。) 「分かりました。」 車を降り、暗い家に入っていった。 家にはレンジで温めれば直ぐに食べれる食事が置いてあり、僕はその食事を食べて自分の部屋に入る。 マスターと母の関係も気になるが、明日香ちゃんが辞めるショックの方が強く、なかなか寝付けなかった。
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