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「ほら、ちゃんと塾に行かないからこうなるのよ!」
佐知子が9歳の息子・陽介を頭ごなしに叱りつける声が部屋全体に響き渡る。テーブルの上にはこの間英語教室で行われたテストの答案が置かれていた。点数は0点。100問ある問題には1つたりともマルがつくことはなく、すべて綺麗にペケがつけられていた。
「何とか言いなさいよ!」
佐知子はさらにまくし立てるが、陽介は何か言いたそうな目をしながらも口を真一文字に結んでいる。佐知子は追い討ちをかけるかのようにさらに口を開いた。
「何なの?その目は!この間100点だったからいい気になってたんでしょ?塾もサボってテストも0点。これじゃ何のためにお金払ってるのかわからないじゃないの」
陽介はなおもダンマリを決め込んでいる。
「もういいっ!」
佐知子は陽介に対してそう怒鳴りつけると、ベッドの中へと潜り込んでしまった。
これが陽介との最後の会話になるとは、佐知子はこのとき思いもよらなかったに違いない。
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