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嫁
うちの『嫁』は、感じが悪い。
嫁いで5年が経つって言うのに、
一向に、家に馴染もうとしない。
もちろん、私とも必要最低限以外の
会話はない。
もっと可愛らしく、明るい嫁なら
家の中が楽しかっただろうに。
息子の女を見る目の無さに
つくづく情けなくなる。
ある日、家の電話が鳴った。
「スマホを忘れた。
今日、香奈子いないだろ??
母さん悪いけど、会社まで届けてくれる?」
息子からだった。
息子の会社までは、車で、5分。
私の足で歩けば、ゆうに30分以上はかかるだろう。
こんな大事な時に、嫁は実家に行っている。
「全く、仕方ないねぇ」
私は、2階の夫婦の寝室の扉を開けた。
ここは、私にとっては、開かずの扉。
普段は、嫁がいるので、近寄ることもない。
部屋には、ベッドが二つ。
その間の小さなライトが置いてある小物置きに
スマホは、あった。
「あっ、これね」
携帯を手に取ると、横にあるピンクのベッドが目に入った。枕元にノートが隠すように置いてある。
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