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彼は決して有名人でもなんでもない、ごくごくありきたりに語るだけのつまらない配信者だった。
読者登録者数も大いまいちで、下手したらリアルタイムで観ているのが私だけだということも少なくはなかった。
そんなつまらない配信者の配信を、私はなるべくリアルタイムで観ようとしたし、実際にそうであった。
彼は静かその日を振り返るようにただただ語るだけであった。
でもそんな彼の言葉に私は、驚くほど穏やかな気持ちにさせられたのだ。
これはWEB上に遺されている動画からの言葉だ。
「空が晴れているのがいい日だなんて、誰が決めたんでしょうね……」
この言葉がとても響いてきた。
その日はとても天気がよかった。天気が良かったのに、思わず吐き出したものに汚れた状態で私は目覚めた。吐瀉物で気持ちの悪い臭いにまみれた自分自身が最悪な気分にさせた。
でも、消し忘れのパソコンから流れてきたその言葉は、悪くはなかったのだ。
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