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それからだった。
私が彼の動画をよく観るようになったのは。彼の言葉はなんでもかんでも賛同できるようなものではなかったけれど、それでも思わず聞き入ってしまう不思議な魅力があった。
そんな彼が言ったのだ。
「今日は死ぬにはいい日だ」
そう、確かに言ったのだ。
薄い灰色がべったりと広げられた空を眺める彼が無表情にいた。
彼は彼を映したまま、羽根よりも、空気よりも、ふわりと宙に身を投げた。手にしたカメラはそのままに。
思わず直前に初めてのコメントをした。
―やめて―
彼はその打ち込まれた文字に気づいたかのように笑うと、そのまま、そのまま、そのまま……
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