今日は空が曇っているから

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 今日あの日と同じように、薄くべったりとした灰色が頭上に広がっていた。  こびりついたあの光景を振り払うかのように、彼のあの儚げ言葉に引きずり込まれるかのように、私はいつもより高いところに立っていた。 「確かに。今日みたいな日が、ちょうどいいね」  二の足を踏んでいるうちに、空が晴れてくる。  なんとも悔やまれる。  私はまた機会を逸してしまった。
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