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カァっと顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。
「...みるなっ!なんで勝手にあんな所から出してきてんだよー。お前が来るのをわかってたから隠してたのに...。
勘弁してよ...っ」
おかしいな。
絶対にバレないようにしようとしたのに。
毎日のようにくる勇士のことを頭に入れていたからこそ、バレたらまずいと思って奥まで閉まっていたのにどうしてヘマをするかなー。
情けなくて最後の方は泣き声に変わっていた。
ふと見上げると俺の目の前には勇士がいた。覆いかぶさった体勢になっていて俺の顔をまじまじと見ている。
「...なんだよぉ、高校生にもなってこんな風に泣く奴なんて揶揄っておもしれーかよ」
憎まれ口をたたく俺を奴は少しだけ困った顔をしてふっと笑った。
「...何?」
落ち着かない気持ちになり、顔を背けようとした。けれど、
「啓太がね、俺と離れるの待っているのか、それとも、一日でも一緒に居たいと思ってくれているのかがわからなかったんだ。
...知ってる?
あーいうアプリの広告ってね、一度、そういうジャンルを見てないと出てこない仕組みになってるんだよ?」
勇士の言っている意味がよくわからない。
「だーかーら、俺が啓太のゲームをさせてもらった時に、あーいうジャンルをポチっと開いたの。
で、今は幼馴染月間だから、一番にあの広告が出てきた。ここまではわかる?」
なんとなくはわかるが、それに関心が向くかどうかなんてわからないじゃないか。
「...俺がそれをスルーしてたら?」
俺の言葉に勇士が寂しそうに一度、瞬きをして答えた。
「...うん、その程度かって」
先ほどとは違い、寂しさがにじみ出てきそうな声になっていた。
胸の奥が騒ぎ出す。
ちょっとまてっ、どういうことだ。
普通に幼馴染としてだったら、遠まわしにあんな細工はしないだろう。それにあれはBLだった。
親愛だけではなく、恋愛感情が伴う話だった。自分の気持ちが「好き」っていう答えにたどり着いた2人の話だった。
そこに気付いた俺は勇士をみた。勇士が
「うん、俺は啓太が好き。もちろん、あの本みたいになりたい方の好きね」
サラッとサラサラッとこの男は言った。
しかも、あの本のようになりたいと。ポンっと頭が噴火したようだった。
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