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「...無理だよ、絶対無理。ほら、BLって腐女子の夢が詰まっているものだって言うじゃん。
実際は、あんなにキラキラしてないよ。すぐにエッチだってできないし、あれは描写がリアルでリアルじゃないし…。
周りは認めてくれる人なんていないだろうし、絶対に離れ離れにならなくちゃいけない時がくるのっ!
ファンタジーだからねって片付けるけど、でも、これはファンタジーじゃないっ!」
俺はいつの間にか本の内容から現実の話に触れていた。
「えっ、ちょっとまって。それを言うってことは、啓太も俺の事...」
信じられないという顔をした後、すぐに嬉しそうに笑う勇士がまぶしすぎて辛い。そのキラキラが眩しすぎて直視するには、心の準備も装備も足りなかった。
掌で自分の顔を隠しながら
「...はい、好きで...「啓太っ!!」
最後まで言わせてもらうことができなかった。ギュって抱きしめられた。
想いは伝わったようで喜ぶ勇士を見て、俺も嬉しくなった。
「すげー、嬉しい。夢みたいっ、あー、色々と我慢してきてよかった―っ!」
そうか、気付かなかったけど勇士はずっと気持ちを隠して俺の傍にいてくれていたのか。
「で、いつまで俺の上に乗ってんの?」
俺が尋ねると勇士がニヤリとまたあの笑みを返してきた。
「お互いの気持ちが繋がります、そのあとはどうだったっけ?」
―?!
俺は勇士を見た。自分の言葉で言えって言っているような目をしていた。
「えっ、そのあとって...へ?」
間抜けな俺の反応を無視し、勇士は言葉を催促する。
...もしかして、あの本の内容の事を言ってるのだろうか。俺は確かめるように
「...キス、して...それ、か、ら、...着ている物を全て剥ぎ取られて...見られて、2回ぐら、い...イって...」
ぐふふーと勇士から変な声が聞こえた。自分で話ながら、迫ってくる危険な香りを察した俺。
でも、勇士は俺よりも数歩先にを歩いていた。
「俺も、そうするから―」って言いながら、俺の承諾もなしにシャツのボタンに手をかけ始めた。
いろいろと聞きたいことがたくさんあるのに…っ!!勇士もその本を読んだのかとか、誰の立場で読んだ?とか色々と。
けれど、頭の中ではあの本のシーンが再現されていた。
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